フリーランス・自営業者が永住許可を取るには?収入・帳簿・確定申告書の注意点まとめ
導入文

「自分はフリーランス(自営業)だけど、永住申請ってできるのかな?」
これは、実際に多くの方からいただくご相談のひとつです。
永住ビザ(永住許可)は「安定した生計能力」が求められるため、会社員に比べて不安定と見なされやすいフリーランスや自営業者の方にとっては、審査上のハードルが高いと感じられるかもしれません。
しかし、実際には「収入の継続性」や「帳簿・申告の整備」が適切になされていれば、フリーランスや個人事業主であっても永住許可を取得することは十分に可能です。
この記事では、行政書士としての実務経験をもとに、フリーランス・自営業者が永住ビザを目指す際のポイントや、具体的な準備方法、不許可を防ぐための対策まで、詳細に解説します。
第1章|許可基準|フリーランスでも認められる収入とは?

永住申請において、フリーランスの最大の壁は「収入の安定性が客観的に証明しづらい」という点にあります。
✅ 年収の目安
入管が明示している基準はありませんが、一般的には以下のようなラインが参考となります
- 単身者:年収300万円以上
- 扶養家族1人あたり:+約70〜100万円
👉 例:配偶者・子1人を扶養 → 年収約450〜500万円以上が目安
これらはあくまで「目安」であり、家賃や生活コスト、過去の収入推移、貯蓄状況なども総合的に考慮されます。
✅ 収入の「安定性」が問われる
たとえば以下のようなケースは、マイナス評価になりやすい傾向があります:
- 年ごとに大きく収入が上下している
- 直近1〜2年で売上が急減している
- 不定期収入(講演・単発案件)が中心で継続性に乏しい
これに対し、長年にわたって一定額の売上が継続している場合や、顧客との契約書などで将来的な収入が担保されている場合は、プラス評価につながります。
第2章|必要書類|確定申告書・帳簿・売上台帳の整備

フリーランス・自営業者が提出すべき主な書類は以下の通りです:
✅ 基本的な収入証明書類
- 確定申告書B(控え):過去3年分(受付印またはe-Taxの受付通知付き)
- 所得税納税証明書(その1・その2):税務署で取得
- 住民税課税証明書・納税証明書:市区町村で取得
✅ 売上の明細や帳簿類
- 売上台帳(Excelなど)
- 請求書・領収書の控え(主要取引先分)
- 業務委託契約書など(継続取引があれば)
入管では、こうした「事業の実態が分かる書類」の整備状況を通じて、信頼性や継続性を判断しています。帳簿類が不十分だったり、売上の根拠が不明確な場合には、不許可のリスクが高まります。
第3章|よくある不許可パターンと対策

以下のようなケースは、フリーランス・自営業者の永住申請における典型的な不許可例です
❌ 1. 申告していない収入がある
→ 副業収入などを申告しておらず、収入が一部非開示となっている場合。不誠実と判断されるリスク大。
❌ 2. 確定申告の控えが不足
→ 「控えに税務署受付印がない」「e-Taxの受付通知を出していない」などで、証明として成立しないケース。
❌ 3. 所得水準がギリギリ
→ 単年で収入が減った場合、その理由説明(病気・育児など)がなければ不許可リスクに。
✅ 対策
- 確定申告書は「控え(受付印付き)」を必ず保管・提出
- 売上や業務内容を補足する「説明書」を添付する
- 所得が下がった年がある場合は、理由書を提出して補足説明
第4章|行政書士が見た通過しやすいパターンとは?

実務上、フリーランスでも以下のような方は比較的スムーズに永住が許可されやすいです:
✔ 顧客が固定・長期契約がある
→ 特定の企業と継続的な契約がある場合、収入の安定性が評価されます。
✔ 所得が安定して高め(例:過去3年で毎年500万以上)
→ 年収の水準が高ければ、ある程度の上下は問題視されにくいです。
✔ 青色申告+帳簿が完備
→ 青色申告かつ帳簿が明確で、支出の整合性も取れていれば高評価。
✔ 税・年金も完納
→ 納税・年金の遅れがないことも必須です。とくに国民年金は納付記録を見られます。
第5章|フリーランス職種別|永住申請での評価傾向とは?

フリーランスといっても、業種によって入管の評価傾向には差があります。
ここでは、実務上よく見られる職種の例をいくつか紹介し、どのような点が評価されやすいかを整理しておきます。
✅ 継続性・安定性が評価されやすい職種
- ITエンジニア・プログラマー
→ 継続的な受託契約が多く、業務内容が明確で単価も高め。契約書の提示で収入根拠を説明しやすい。 - オンライン語学講師(固定契約あり)
→ 同じプラットフォームや学校と長期契約している場合は安定性が高く評価されやすい。 - 通訳・翻訳業(定期契約あり)
→ 大手企業との継続的な依頼がある場合は収入の安定性が認められやすい。
❌ 案件ベース・不安定と見なされやすい職種
- イベント出演型インフルエンサー/Youtuber
→ 収入の波が大きく、申告内容と実際の収入の乖離があるケースも。不安定と見なされやすい。 - 単発翻訳/単発ナレーション/単発講師
→ 請負元がバラバラで帳簿・売上の説明が不十分だと、職業の継続性が疑問視される。 - ギグワーク型(UberEatsなど)
→ 雇用実態があいまいで、帳簿を残していない場合が多い。収入も低めになりがち。
👉 ポイント
どの職種であっても、継続契約や業務内容の明確化(契約書・請求書・台帳)が整っていれば審査通過は可能です。
第6章|売上台帳・請求書・契約書の書式と整備のコツ

申請時に提出が求められるわけではないものの、「売上台帳」や「契約書・請求書」がきちんと整っていると、申請内容の信頼性が大きく向上します。
✅ 売上台帳の例(Excelなどで作成)
| 月 | 取引先 | 内容 | 売上金額 | 請求書番号 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年1月 | ABC株式会社 | 翻訳業務 | ¥150,000 | INV2025-01 |
| 2025年2月 | XYZ合同会社 | 通訳業務 | ¥120,000 | INV2025-02 |
- 取引先名・業務内容・金額・請求書との紐づけが明確になっていることが重要。
- 必ず年間で整備し、PDF化して提出できるようにしておく。
✅ 請求書の書式例(日本語・英語いずれでも可)
請求書
請求日:2025年3月5日
請求番号:INV2025-03
宛先:ABC株式会社 御中
件名:翻訳業務のご請求
金額:150,000円(税込)
差出人:ジョン・スミス
屋号:スミス翻訳事務所
住所・連絡先記載
※必要に応じて印鑑・署名を加えると信頼度が上がる。
✅ 業務委託契約書の概要
- 契約期間:開始日〜終了日(または自動更新)
- 業務内容:翻訳・通訳・講師など明記
- 報酬の支払方法・金額
- 秘密保持条項
- 双方の署名欄(電子でも可)
👉 こうした帳票類の整備状況が、審査官に「実態のある自営業」と認識されるカギになります。
第7章|【比較事例】フリーランス永住申請|通過と不許可の分かれ目

ここでは、実際の審査現場でよく見られる典型的なモデルケースをもとに、通過例と不許可例の違いを比較してみます。
✅ Aさん|翻訳フリーランス・許可されたケース
- 年収:過去3年連続で450〜500万円
- 契約先:大手翻訳会社と継続契約(月10万円以上固定)
- 帳簿:売上台帳・請求書・契約書すべて整備済
- 確定申告:青色申告でe-Tax+受付通知を添付
- 年金・税:すべて完納
👉 契約の継続性と帳簿整備が評価され、スムーズに永住許可。
❌ Bさん|YouTuber・不許可だったケース
- 年収:一昨年600万円→前年350万円→今年250万円
- 契約先:プラットフォーム収入が中心で契約書なし
- 帳簿:未整備、請求書も存在しない
- 確定申告:e-Taxで提出したが受付通知を出さず
- 年金:一時未納あり(後から追納)
👉 帳簿がない=収入の実態が不明確、年収の落差と年金未納がダブルで響いて不許可。
これらの事例から分かる通り、フリーランスや自営業者が永住許可を得るためには、「形式的な収入額」だけでなく、「裏付け資料による信頼性・継続性の証明」が非常に重要です。
まとめ|準備を整えれば、フリーランスでも永住申請は可能です

たしかに、会社員に比べて審査の難易度がやや高くなるフリーランスや自営業者の永住申請ですが、「収入の安定性」と「帳簿・申告の信頼性」をしっかり整えれば、決して不可能ではありません。
特に最近では、副業・フリーランスとして働く外国人の方も増えており、入管もある程度の対応経験を積んできています。
行政書士としては、確定申告や売上台帳・請求書・契約書などの整備状況を見ながら、「この状態であれば申請してよいかどうか」「どこを補強すべきか」といった個別判断のアドバイスが可能です。
当事務所では、フリーランスの方向けの収入状況ヒアリングや書類の整備アドバイス、理由書作成支援まで一括で対応しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
行政書士いしなぎ事務所まで
「永住許可を早く確実に取りたい」「書類準備に不安がある」
そんな方は、当事務所(大阪市淀川区)までお気軽にご相談ください。全国からのご依頼に対応し、入管対応の経験を活かして最適なサポートを提供しています。
永住許可を確実かつスムーズに進めたい方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
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