家族で永住申請する場合の注意点|配偶者・子どもの同時申請と審査の実態
✅ はじめに|家族で永住申請したい方へ

「家族そろって日本で永住したい」と考える外国人の方は少なくありません。
特に、お子さんの進学や日本での生活基盤を考慮すると、世帯全員で永住許可を取得できれば将来への不安も大きく軽減されます。
しかし実際には、「家族全員まとめて申請すれば大丈夫」といった誤解や、「どのような書類が必要なのか」「誰を先に申請すべきか」など、多くの判断ポイントがあります。
この記事では、配偶者・子どもと一緒に永住申請を考えている方に向けて、実務上の注意点や申請のパターンごとの対策を行政書士の視点から詳しく解説します。
第1章|そもそも「家族で永住申請」はどういう仕組み?

まず基本的な制度として、永住許可は「個人単位」で審査される許可です。
つまり、たとえ夫婦や親子で一緒に申請しても、それぞれが個別に審査され、個別に許可・不許可が決まるという点は理解しておく必要があります。
一方で、同一世帯内で申請する場合には以下のような「家族関係に基づいた審査」も行われます。
- 世帯全体の収入・納税状況
- 扶養関係(特に子どもや専業配偶者)
- 同居実態・生活状況
つまり、「個別審査+世帯単位の審査」が同時に進むと考えると良いでしょう。
第2章|家族での申請が多いケースとその背景

実務上、以下のようなケースで「家族で一緒に申請したい」という希望が多く見られます。
🔸 同時申請が検討される典型的な背景
| ケース | 背景と目的 |
|---|---|
| 子どもが小学校に入学予定 | 長期的な在留を前提に家族の安定を図るため |
| 配偶者の在留期限が近い | 永住によりビザ更新の負担を軽減したい |
| 世帯収入は主に一人 | 扶養者と一緒に申請しないと要件が難しい場合 |
家族で同時に永住ビザを取得できれば、在留資格の更新・再入国許可などの手続き負担が一気に軽減されるため、実務的にもメリットは大きいです。
第3章|実例で学ぶ!家族での永住申請ケーススタディ

ここでは、実際によく見られる申請パターンを3つ紹介します。
▶ ケース①:夫(技人国)+無職の妻+子1人(未就学児)
- 主たる申請者:夫(正社員)
- 妻は就労なし、子は保育園に通園中
- 審査では夫の「収入・納税・年金」が主にチェックされる
- 妻・子どもの申請においては**「扶養の実態」「生活の安定性」**が重要視される
▶ ケース②:父が先に永住 → 数年後に母と子を申請
- 先に父親だけが永住申請を行い、取得後に家族を追加申請
- 家族での同居期間・生活状況が問われ、書類の整合性が重視された
- 同時申請ではないため、母と子の審査は慎重に実施
▶ ケース③:シングルマザーと子どもの2人世帯
- 母親は長年の就労歴があり安定した収入あり
- 子どもは未就学児、母の扶養対象
- 子どもの扶養実態を示すために生活費振込明細や教育関係資料を添付
第4章|審査の評価ポイントとリスク

✅ 世帯の収入・納税・保険状況は「全員の分」が見られる
たとえ配偶者が扶養されている立場であっても、「収入がゼロだから審査されない」ということはありません。
無職の理由や、世帯全体として生活が安定しているかどうかが審査対象になります。
✅ 生活状況がバラバラな場合はリスク
- 配偶者が別居中
- 子どもだけが遠方の学校に通っている
- 住民票の記載と実際の居住が異なる
など、「家族一緒に生活していない印象」を与える要素は、実態の説明や補足資料が必要です。
✅ 日本語能力の証明は家族にも影響?
配偶者が日本語をほとんど話せない場合なども、「地域との共生」や「将来的な定着性」の観点で軽微に影響することがあります。
必須ではありませんが、日本語学校の在籍証明や地域活動の実績などが補足資料として有効な場合もあります。
第5章|「世帯全員同時申請」と「分割申請」の判断

状況によっては、無理に全員同時に出すよりも、「主たる扶養者のみ先に申請」→「後で家族を追加申請」という流れのほうが合理的な場合もあります。
📌 分割申請が有効な例
- 配偶者が来日後1年未満で在留歴が浅い
- 子どもがまだ在留資格変更後まもない
- 主申請者が条件を十分に満たしており、早期に永住を取得したい
第6章|不許可になった事例とその対策

家族での永住申請で、以下のような理由により不許可となった例があります。
❌ 別居状態を隠して申請したケース
- 書類上は同居扱いだったが、実際には長期別居
- 入管により光熱費履歴や住民票の履歴から矛盾が判明
- 結果:不許可
❌ 配偶者の在留歴が浅すぎたケース
- 主申請者は10年居住・就労も安定
- 配偶者は来日から10ヶ月で一緒に申請 → 不許可
- 対策:一定の在留実績を積んでから追加申請
第7章|「扶養の証明」に使える資料とは?

扶養していることを裏付けるために、以下のような補足資料を準備しておくと安心です。
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 生活費振込記録 | 毎月の送金履歴(通帳コピー・ネットバンク画面等) |
| 公共料金の共通名義 | 電気・ガス・水道の請求書(世帯同居の補強) |
| 教育・保育資料 | 保育園の在籍証明、保護者欄の記載など |
| 住民票と続柄 | 同居・扶養関係を裏付ける基礎書類 |
第8章|Q&A:家族の永住申請に関するよくある疑問

Q1. 夫だけ永住者になったら、妻や子はどうなる?
→ そのままでは妻や子の在留資格に変化はありません。別途で永住申請が必要です。
Q2. 子どもは日本生まれだけど、親と一緒に永住申請できる?
→ 可能です。ただし、親の永住取得が前提であり、子単独での申請は難しいです。
Q3. 離婚した元配偶者との子どもでも一緒に申請できる?
→ 親権があり、同居かつ扶養していることが明確であれば申請可能です。
第9章|行政書士によるサポート内容とメリット

- 各家族ごとの要件チェックと整理
- 不足書類・矛盾箇所のチェック
- 子どもや配偶者に関する補足説明文の作成
- 同居実態や扶養状況の証明に関するアドバイス
特に「収入が1人だけ」「配偶者が扶養対象」「外国籍の子どもが学校に通っている」など、家庭の事情に応じた書類調整が必要になるため、専門家の関与が効果的です。
📝 まとめ|家族申請こそ慎重に。段階的戦略も有効

- 永住申請は原則「個人ごとの審査」
- ただし世帯単位での生活安定性も見られる
- 家族一斉申請が理想だが、無理に揃える必要はない
- まずは主たる収入者1人が先に永住を取得し、その後で家族申請を行う方法も有効
家族全体での永住取得は、日本での生活基盤の安定に大きく寄与します。
だからこそ、焦らず戦略的に進めていきましょう。
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