海外在住の家族がいる場合の永住申請|仕送り・送金記録で立証する方法【2025年版】
はじめに|「家族が日本にいないと永住は取れない?」という誤解

永住許可の審査では、「家族が日本に住んでいない」「仕送りだけしている」というケースを理由に不利になるのでは?と不安に感じる方が多いです。
実際、配偶者や子どもが海外に住んでいる場合、入管は「生計が本当に一体か」「生活の実態が続いているか」を慎重に確認します。
ただし――
これは不許可理由ではなく、「立証が必要な類型」であるという点を理解することが大切です。
つまり、家族が海外にいても、「関係性」と「経済的つながり」が客観的に示されれば、永住は十分に許可されます。
背景|永住審査における「生計の一体性」とは

永住許可の基準は、入管法第22条の2および関連告示(永住許可に関するガイドライン)に基づきます。
この中で、家族関係に関する主要ポイントは次の2つです。
- 生計が安定しており、その継続が見込まれること
- 家族としての共同生活が社会的・経済的に維持されていること
配偶者や子どもが海外に住んでいる場合、入管はこの「共同生活の継続性」を特に注視します。
単身赴任や一時的な留学・転勤などであれば問題ありませんが、「離れて暮らしている理由」と「今後の見通し」を合理的に説明できることが重要です。
実務ポイント①|「仕送り記録」で生計の一体性を証明する

最も基本的な立証方法は、定期的な送金の証拠を提示することです。
実際の審査では、以下のような資料を組み合わせて提出します。
| 書類名 | 内容・ポイント |
|---|---|
| 海外送金明細(銀行・Wise等) | 月1回などの定期送金が望ましい。金額の多寡よりも「継続性」が重要。 |
| 通帳コピー・取引履歴 | 送金元口座が本人名義であることを明示。受取人名も一致させる。 |
| 送金目的欄の記載 | “Living Expenses”, “Family Support”など、生活費目的を示す表現が望ましい。 |
| 家族の受領証・領収書 | 海外側で現金受領した場合の受領サインや通帳記録。 |
実務ポイント②|「家族関係の実在性」を補強する書類

送金だけでは「生活の実態」までは十分に伝わらないことがあります。
そのため、以下のような補強資料を併用するのが効果的です。
| 書類区分 | 例示 | 備考 |
|---|---|---|
| 家族関係書類 | 出生証明書、婚姻証明書、戸籍翻訳付コピー | 本国発行+日本語訳を添付。 |
| コミュニケーション証拠 | メッセージ履歴、通話ログ、家族写真 | 生活の継続的交流を示す。 |
| 渡航記録 | パスポート出入国スタンプ、Eチケット | 定期的に訪問している場合は有利。 |
| 将来計画の疎明 | ビザ申請予定、留学終了後の同居予定書 | 「今後一緒に住む予定」が明確なら強い。 |
特に、家族が留学・出産・介護などで一時的に海外にいる場合は、
「理由」と「期間の見通し」を補足説明書にまとめておくと良いでしょう。
審査官は「離れていること」そのものではなく、離れている理由と期間の合理性を見ています。
実務ポイント③|説明書・補足文で“背景”を伝える

永住許可申請書や理由書とは別に、補足説明書(Free Form)を添付するのが効果的です。
特に次のような構成で記載すると、説得力が高まります。
【海外在住家族に関する補足説明書(例)】
1.家族構成および居住状況
配偶者:〇〇〇(国籍:○○、現住所:○○国○○市)
子ども:〇名(うち長男は日本居住、次男は留学中)
2.海外居住の理由
妻が母親の介護のため一時帰国中。今後は〇年〇月頃に日本へ戻る予定。
3.経済的支援の状況
毎月〇万円を送金(銀行送金明細を添付)。生活費および学費として使用。
4.コミュニケーションの状況
週2〜3回のビデオ通話、月1回の渡航。写真・通話履歴を添付。
5.今後の生活計画
次回在留期間更新後は家族全員で日本に定住予定。
文章形式でも箇条書きでも構いませんが、
「家族の構成」「離れている理由」「支援・交流の実態」「今後の見込み」を整理して伝えることが大切です。
よくある誤解と注意点

| 誤解 | 実際の取扱い |
|---|---|
| 家族が海外にいたら永住は通らない | ❌ 不正確。立証次第で十分許可可能。 |
| 送金金額が少ないと不利 | ❌ 継続性・目的の明確さが重視される。 |
| SNSや写真は意味がない | ❌ 家族関係の継続を示す有力な補強資料になる。 |
| 補足説明は不要 | ❌ 審査官に意図を伝えるために極めて有効。 |
専門家コメント|「離れていても“つながり”を見せること」

永住審査では、「一緒に暮らしているか」よりも「家族として支え合っているか」が問われます。
書類上で冷たく見える関係でも、送金・交流・将来計画が具体的なら十分に評価されます。
逆に、何も説明せず「ただ離れている」だけでは、真実でも誤解されてしまうケースがあります。
行政書士としては、背景説明と証拠の組み合わせこそが最重要と考えています。
単なる資料提出ではなく、“家族の物語”を伝える申請を心がけましょう。
まとめ|離れていても“家族としてのつながり”を形にすることが大切

海外に家族がいるからといって、永住申請が不利になるわけではありません。
重要なのは、「離れていても家族として支え合っている姿」を、客観的な証拠で見せることです。
入管は「形式」よりも「実態」を見ています。
どれだけ丁寧に“つながり”を伝えられるかが、最終的な評価を左右します。
そのために意識しておくべきポイントを、改めて整理しておきましょう。
- 離れている理由と今後の見通しを明確にする
留学・介護・転勤など、期間や背景を合理的に説明できれば十分に理解されます。 - 送金や仕送りの記録で「生計の一体性」を立証する
金額の多さよりも、定期的に支援しているという「継続性」が評価されます。 - 家族関係や交流の実在性を補強する
通話履歴・写真・訪問記録など、“家族の関係が続いている”ことを示す資料を併用します。 - 補足説明書で背景と今後の生活設計を丁寧に伝える
書類だけでは伝わりにくい部分を、申請人自身の言葉で説明することで信頼度が上がります。
永住申請は、単なる「手続き」ではなく、これまで積み上げてきた家族の歴史を見せる場でもあります。
海外に暮らす家族との絆を、丁寧な立証で形にしていく――
その姿勢こそが、審査官に伝わる最も確かな証拠になるのです。
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