帰化申請と交通違反・軽微な犯罪歴の影響|不許可リスクと再申請のポイント【2025年最新版】
はじめに
帰化申請を希望する外国人の方から多いご相談のひとつが、
「過去に交通違反や軽微な犯罪歴があるけれど、帰化できるのか?」
というものです。
日本の帰化申請では、「素行善良要件」 という審査項目が大きなカギになります。これは、過去の行動歴や日常生活において、日本社会で適切に生活しているかどうかを判断するための基準です。したがって、交通違反や軽微な犯罪歴があると、この要件に抵触する可能性があります。
ただし、必ずしも「一度違反をしたら不許可」というわけではありません。違反や犯罪の内容、時期、回数、そしてその後の生活態度によって、許可・不許可の判断は大きく変わります。
本記事では、帰化申請における交通違反・軽微な犯罪歴の扱いと審査実務のポイント を、実務経験に基づいて詳しく解説します。
第1章|帰化申請における「素行善良要件」とは?

帰化申請の許可・不許可を左右する要件のひとつが、素行善良要件(そこうぜんりょうようけん) です。法務局では、申請者が「日常生活において日本の法令を遵守し、社会的に非難される行為をしていないか」を中心に審査します。
1. 素行善良要件の判断材料
審査では、以下のような点が確認されます:
- 交通違反の有無(速度超過、信号無視、駐車違反など)
- 犯罪歴(万引き、傷害、軽微な刑事事件を含む)
- 税金・社会保険料の納付状況
- 日常的な生活態度(近隣トラブルや暴力沙汰などがないか)
つまり、「法律を守っているかどうか」だけでなく、「社会人として責任ある行動をしているか」まで幅広く見られるのです。
2. 素行善良要件の典型的な不許可例
過去の実務で多く見られる不許可理由は以下のとおりです:
| 不許可理由の例 | 詳細内容 |
|---|---|
| 交通違反の累積 | 短期間に繰り返し速度違反・駐車違反を行ったケース |
| 税金滞納 | 所得税や住民税の未納・延滞がある場合 |
| 軽微犯罪の反復 | 万引きを複数回繰り返した、傷害事件歴がある |
| 刑罰が重い犯罪 | 懲役刑や禁錮刑を受けた履歴がある |
このように「一度の小さな違反」ではなく、「繰り返し」「重大」「社会的非難度の高さ」が審査上大きなマイナスとなります。
3. 法務局の審査姿勢
法務局は「過去の過ちがあっても、その後に更生しているか」を重視する傾向にあります。違反や犯罪歴があっても、一定の期間を問題なく過ごしていれば、再チャレンジで許可されるケースも少なくありません。
第2章|交通違反の典型例と帰化審査への影響

帰化申請において、最も多く質問が寄せられるのが「交通違反」です。日本で長く生活していると、車や自転車の利用を通じて小さな違反を経験する人は少なくありません。では、どの程度の交通違反なら帰化に影響するのでしょうか。
1. 交通違反の典型例と区分
交通違反は大きく「軽微な違反」と「重大な違反」に分けられます。
| 区分 | 違反例 | 帰化審査への一般的影響 |
|---|---|---|
| 軽微な違反 | 駐車違反、シートベルト未着用、一時停止違反 | 単発であればほぼ影響なし。ただし短期間に繰り返すと「素行不良」と判断されることがある |
| 中程度の違反 | 速度超過(20〜30km程度)、携帯電話使用、信号無視 | 数回程度であれば軽度の影響。直近の違反は不利要素になり得る |
| 重大な違反 | 酒気帯び運転、無免許運転、速度超過50km以上、ひき逃げ | 原則として大きなマイナス要因。不許可リスクが高い |
2. 違反点数制度と帰化審査
日本の交通違反には「点数制度」があり、過去の違反点数は帰化審査でも参考にされます。
- 点数が少なく、一度きりの違反 → 審査への影響は限定的
- 短期間で累積点数が高い → 「法令順守意識が低い」とみなされやすい
- 免許停止処分・取消処分歴 → 帰化申請において大きなマイナス要因
実務上、免許停止以上の処分歴がある場合は、少なくとも数年間の無事故無違反期間を経てから申請するのが望ましい といえます。
3. 法務局でよくある具体的質問
面談の際、法務局担当者からは以下のような質問をされるケースがあります:
- 「いつ、どのような交通違反をしましたか?」
- 「反則金や罰金はきちんと納付しましたか?」
- 「なぜその違反をしてしまったのですか?」
- 「その後、生活や運転態度を改めましたか?」
このように、単に「違反があった」ことよりも「その後の改善努力」を確認されるのが実務のポイントです。
4. 実務上の許可・不許可ラインの目安
過去の相談・実例から整理すると、交通違反が帰化に与える影響は次のようにまとめられます。
| 状況 | 審査への影響 |
|---|---|
| 5年前に1回の駐車違反 | 影響ほぼなし |
| 直近3年間で2〜3回の軽微違反 | 許可の可能性はあるが、指摘されることも |
| 直近1年間で繰り返し違反 | 素行善良要件に抵触、不許可リスク大 |
| 酒気帯び運転で検挙 | 原則として数年間は不許可、再申請が必要 |
| 無免許運転歴あり | 不許可リスク極めて高い。長期間の更生が必要 |
まとめ(第2章)
交通違反は「回数」「時期」「内容」の3点が審査のカギになります。
- 一度の軽微違反 → 大きな問題なし
- 繰り返し違反 → 不許可リスク上昇
- 重大違反(酒気帯び等) → 長期的にマイナス要因
つまり、交通違反があっても申請自体は可能ですが、申請タイミングや過去の記録の申告方法を誤ると不許可につながります。
第3章|軽微な犯罪歴がある場合の扱い

交通違反とは別に、「過去に小さな犯罪をしてしまったことがある」というケースも、帰化申請では無視できません。特に 万引き、軽度の傷害事件、軽い窃盗、罰金刑や略式命令による処罰 などが該当します。
1. 軽微犯罪の典型例
以下のような事案は、帰化申請時に必ず確認される対象です。
| 犯罪類型 | 具体例 | 審査上の位置づけ |
|---|---|---|
| 窃盗・万引き | コンビニでの万引き、職場での備品窃取など | 繰り返しがあると不許可リスク大。初犯でも直近であれば厳しい |
| 傷害事件 | 軽い暴行、けんかでの軽傷 | 被害届が出て刑事処分となった場合は大きなマイナス |
| 軽犯罪法違反 | のぞき、器物損壊など | 複数回あると「素行不良」とみなされやすい |
| 道交法違反の刑事事件化 | 酒気帯び運転で罰金刑、ひき逃げ | 重い扱い。数年間の更生期間を要する |
2. 前科と前歴の違い
実務で重要なのは「前科」と「前歴」の区別です。
- 前科:裁判で有罪判決を受けたもの(罰金刑・懲役刑など)。
- 前歴:警察に逮捕されたが不起訴になった、任意同行だけで終わった、など。
3. 過去の軽犯罪が審査に与える影響
影響度を整理すると以下のようになります。
| 状況 | 帰化審査への影響 |
|---|---|
| 10年前に万引き1回(罰金刑) | その後問題なければ許可可能性あり |
| 直近2〜3年以内に万引きで処罰 | 不許可リスクが高い |
| 暴行事件で罰金刑(5年前) | 他に問題がなければ許可の余地あり |
| 直近で暴行事件・罰金刑 | 原則として不許可、再申請を勧められる |
| 略式命令で罰金刑を複数回 | 「繰り返し」行為として不許可可能性大 |
4. 審査で重視されるポイント
軽微な犯罪歴がある場合、法務局が特に重視するのは以下の点です。
- 犯罪の時期:直近数年以内か、それとも10年以上前か。
- 犯罪の回数:一度限りか、それとも複数回か。
- 刑罰の内容:不起訴か、罰金刑か、執行猶予付き判決か。
- その後の生活態度:反省して更生しているか。
5. 行政書士から見た実務上の注意点
- 隠さないことが鉄則
犯罪歴を隠して申請し、後から判明すると「虚偽申請」として即不許可になります。 - 反省と更生の姿勢を示すことが重要
過去の過ちを認めた上で、現在は社会に適応していることを説明できると有利です。 - 再申請のタイミングを見極める
直近で犯罪歴がある場合、数年間待ってから再チャレンジしたほうが現実的です。
まとめ(第3章)
軽微な犯罪歴があると、帰化審査では無視できない大きな要素になります。
- 一度きりの軽微犯罪 → 時間の経過と更生で許可されることもある
- 複数回の軽犯罪 → 素行善良要件に抵触し、不許可リスク大
- 隠すのは絶対にNG → 誠実な申告と更生の証明が重要
第4章|違反・犯罪歴がある場合の具体的な許可・不許可の判断基準

交通違反や軽微な犯罪歴があっても、必ずしも帰化申請が不許可になるわけではありません。法務局の審査では、「違反や犯罪の内容・回数・時期」と「その後の更生状況」 が総合的に評価されます。
1. 審査で考慮される主要な基準
帰化審査における判断材料は、概ね以下のとおりです。
| 判断基準 | 内容 | 帰化審査への影響の目安 |
|---|---|---|
| 違反・犯罪の重さ | 例:酒気帯び運転、窃盗など | 重大なものほどマイナス評価が大きい |
| 発生からの経過時間 | 直近の行為 → 強く不利 10年以上前 → 許可の余地あり | 時間の経過で改善の余地が生まれる |
| 繰り返しの有無 | 一度の過ち → 寛容な傾向 複数回 → 「改善されていない」と判断 | 繰り返しは不許可リスク大 |
| 刑罰の種類 | 不起訴 → 影響小 罰金刑 → 中程度の影響 懲役・禁錮 → 大きなマイナス | 刑罰が重いほど許可は難しい |
| 生活態度の改善 | 就労継続、税金納付、社会生活の安定 | 改善実績があれば再申請でプラス評価 |
2. 判断基準をケース別に整理
実務経験や公開されている傾向をもとに、目安を以下の表にまとめます。
| 違反・犯罪歴 | 経過年数 | 許可・不許可の傾向 |
|---|---|---|
| 駐車違反1回のみ | 3年以上経過 | 許可の可能性高い |
| 軽微な交通違反が複数回(例:信号無視2回、速度違反1回) | 直近1〜2年以内 | 不許可リスク高い、数年待つべき |
| 万引き(罰金刑)1回 | 10年以上前 | 更生が認められれば許可の余地あり |
| 暴行事件で罰金刑(2年前) | 直近のため不許可リスク大 | |
| 酒気帯び運転で罰金刑 | 5年以内 | 不許可の可能性大。7〜10年経過後なら許可余地あり |
| 無免許運転(複数回) | 何年前でも | 「繰り返し」行為として不許可リスク極めて高い |
3. 法務局の面談での着眼点
違反や犯罪歴がある場合、面談では以下のような点を重点的に確認されます。
- 申告の正確性:「過去に違反歴はありますか?」への回答と、記録との整合性
- 反省の有無:「なぜその行為をしてしまったのか」「今はどう改善したのか」
- 再犯防止策:例えば「現在は車を使っていない」「運転態度を改めた」など
- 生活の安定性:違反後も安定した就労・納税・地域生活を送っているか
4. 行政書士がアドバイスする「申請タイミング」
違反や犯罪歴がある場合、申請時期を誤ると不許可につながります。
- 軽微な交通違反 → 最低でも1〜2年は無事故無違反の期間を経て申請
- 罰金刑 → 5年以上の経過を待ってからの申請が無難
- 執行猶予付き判決 → 執行猶予期間満了後、さらに数年待つ必要あり
このように、「不許可を避けるために申請を遅らせる」 という戦略も実務上は有効です。
まとめ(第4章)
- 審査は「内容・回数・時期・改善状況」の総合判断
- 軽微な違反でも直近に複数回あれば不許可リスク大
- 罰金刑や重大違反は、数年の更生期間を経て初めて許可の余地が出てくる
- 申請タイミングを調整することが、成功への重要なポイント
第5章|過去の違反・犯罪歴をどう申告すべきか(正直申告の重要性)

帰化申請において、違反や犯罪歴がある場合に最も重要なのは、「隠さず、正確に申告すること」 です。法務局は警察・裁判所・入管・税務当局などと情報を共有できるため、隠しても必ず調べられます。むしろ「申告しなかったこと」が最大の不許可理由となるのです。
1. 申告が必要な範囲
帰化申請書類(特に「履歴書」「身分事項・親族事項」など)では、過去の違反や犯罪歴について記載を求められます。記載が必要なものは次のとおりです。
- 交通違反:反則金処分を含む(駐車違反も対象)。
- 刑事処分:罰金刑、執行猶予付き判決など。
- 不起訴処分:厳密には前科にはならないが、面談で問われることがある。
- 国外での犯罪歴:海外で処罰を受けた場合も対象。
2. 虚偽申告のリスク
もし違反歴を隠した場合、以下のような結果が待っています。
- 発覚時に即不許可:「虚偽申請」と判断される
- 今後の再申請にも影響:「隠した人」という印象が残る
- 最悪の場合は刑事責任:虚偽公文書作成罪に問われるリスク
つまり、たとえ小さな駐車違反であっても、隠すことで申請全体が台無しになる危険があります。
3. 実務上の記載方法
行政書士がサポートする際には、以下のような形で申告内容を整理します。
| 項目 | 記載例 |
|---|---|
| 違反・犯罪の年月日 | 2021年5月10日 |
| 行為内容 | 駐車違反 |
| 処分内容 | 反則金15,000円納付 |
| その後の状況 | 以後違反なし、無事故無違反を継続中 |
4. 反省・改善を示す工夫
過去の違反や犯罪歴を正直に申告するだけでなく、次のような「改善姿勢」を書面や面談で示すことが望ましいです。
- 再発防止の意識:「交通ルールを徹底して守るようになった」
- 生活改善:「定職に就いて安定した生活を送っている」
- 社会参加:「地域活動やボランティアにも取り組んでいる」
このように、「過去の過ちを克服し、社会に適応している」 ことを伝えることが、素行善良要件の克服につながります。
まとめ(第5章)
- 違反や犯罪歴は必ず正直に申告すること
- 隠すと即不許可+再申請にも悪影響
- 記載は具体的に整理して、反省と改善の姿勢を示す
- 「正直さ」と「更生後の生活安定」が最大の武器
第6章|行政書士から見た「再チャレンジの可能性」と対策

交通違反や軽微な犯罪歴がある場合、最初の申請で不許可になることも珍しくありません。
しかし、帰化申請は 一度不許可になっても再チャレンジできる制度 です。実務上は、むしろ「一度で通らないケースもある」と想定し、その後の対応を戦略的に考えることが重要です。
1. 不許可後の再申請の基本
帰化申請で不許可となった場合でも、以下の流れで再チャレンジが可能です。
| ステップ | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 不許可通知の受領 | 法務局から正式に「不許可通知」が届く | 理由は簡潔にしか記載されない |
| 担当官へのヒアリング | 行政書士が同席し、不許可理由や再申請可能時期を確認 | 「どのくらい待てばよいか」を明確にする |
| 更生期間の設定 | 交通違反 → 1〜3年の無違反期間 犯罪歴 → 5年以上の更生期間 | 違反・犯罪の内容に応じて待機期間を調整 |
| 再申請の準備 | 生活態度の改善、納税・社会保険の完備、安定した就労実績を積み上げる | 「改善した証拠」を整えて再度申請 |
2. 実務でよくある再チャレンジの成功例
過去の事例をもとに、典型的なケースを整理します。
| 初回申請の状況 | 不許可理由 | 再申請の工夫 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 直近1年で交通違反3回 | 素行善良要件に抵触 | 3年間の無違反記録を積み上げて再申請 | 許可 |
| 5年前に万引きで罰金刑 | 犯罪歴の経過年数不足 | 追加で5年経過後に安定就労を証明 | 許可 |
| 酒気帯び運転歴あり | 重大違反 | 7年以上の無事故無違反+反省文提出 | 許可 |
| 暴行事件(罰金刑) | 社会的非難性 | 安定就労+家族との安定生活を証明 | 許可 |
3. 再申請に向けた対策
行政書士の立場から、再申請に向けて取るべき対策は次のとおりです。
- 生活の安定を示す
→ 定職、安定収入、税金・社会保険料の完納 - 違反防止の実績を積む
→ 運転するなら無事故無違反を継続 - 社会とのつながりを強調
→ 地域活動やボランティア参加、家族の安定生活 - 誠実な態度を維持
→ 不許可理由を正直に受け止め、改善を実行
4. 行政書士に依頼するメリット
違反・犯罪歴がある場合は、専門家のサポートが大きな助けになります。
- 法務局担当官への説明の仕方をアドバイス
- 不許可理由の分析と「再申請までの待機期間」の目安を提示
- 書類作成時に「改善の証拠」をどう盛り込むかを設計
- クライアントの生活状況を踏まえて、最適な再申請時期を提案
まとめ(第6章)
- 不許可になっても再チャレンジは可能
- 数年の更生期間を経て、生活の安定や改善実績を積み上げることが重要
- 成功例は多く、「時間+改善」があれば許可につながる
- 行政書士の支援により、再申請の戦略を明確に立てることができる
まとめ|違反歴があっても帰化は可能、正直申告と改善努力がカギ

帰化申請における「素行善良要件」は、交通違反や軽微な犯罪歴がある方にとって最大の関心事です。確かに違反や犯罪歴はマイナス要因となり、直近で繰り返しがあれば不許可の可能性も高まります。
しかし、重要なのは「違反をした事実そのもの」ではなく、その後に反省し、更生しているかどうか です。
- 一度きりの軽微な違反 → 時間の経過と無違反期間の積み上げで許可の余地あり
- 罰金刑や重大違反 → 数年間の更生期間を経て再申請で許可されるケースも多数
- 隠すことは厳禁 → 虚偽申告は即不許可。正直に申告することが何より大切
帰化申請は一度不許可になっても終わりではありません。改善の姿勢を示し、生活を安定させ、適切なタイミングで再チャレンジすることで、十分に許可を得るチャンスはあります。
もし過去の違反歴に不安がある場合は、専門の行政書士に相談し、申請の可否や最適なタイミングを確認することが賢明です。的確なアドバイスと伴走によって、リスクを最小限に抑え、帰化許可への道を切り開くことができます。
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